マイワシのアンチョビとナンプラーもどきの作り方
久々にアンチョビを漬けました。本来カタクチイワシで作るものですが、いつもマイワシでやってるのでその方法を記載します。といってもやり方はカタクチイワシと同じです。
今回は塩漬けの工程しかやっていないので、オイル漬け後の完成写真は後日追加します。塩漬けの作業工程の写真も次やった時に追加します。
テキスト量が異常なので、お急ぎの場合は太文字のタイトルと青文字だけ読んでください。
材料および前置き
- マイワシ(もちろんカタクチイワシでもOK)
- 塩
- オリーブオイル
その他、密閉容器、キッチンペーパー
手に入りやすいのでいつもマイワシで漬けています。
マイワシは脂肪が多いらしいのですが、そのせいで失敗したり不味かったりと言うことは今まで特になかったです。カタクチイワシででも経験ありますが、さほど味の差はなかったように思います。
やったことはないのですがサンマやアジでも作れるようです。骨抜き等、小さなイワシを何匹も処理するより、大きな魚で作ったほうがもしかしたら手間は軽減するかも知れません。
ちなみにアンチョビは「カタクチイワシ」の意味らしいので他の魚で作ったものをアンチョビと呼ぶべきかは若干悩むところですが、目下のところアンチョビと呼ぶ以外に方法は見当たりません。
工程と所要時間(イワシ40匹の場合)
- 塩漬け
[作業時間:90~120分/漬け込み期間:夏1ヶ月以上、冬2ヶ月以上] - オリーブオイル漬け
[作業時間:30分前後/漬け込み期間2週間程度]
漬け込みは、塩漬け/オリーブオイル漬けともに常温のほうが良いと思います。(冷蔵するとなかなか発酵しませんでした)
基本、塩やオイルに浸かってさえいれば、腐ったりカビたりすることはないと思います。
塩漬けは長ければ長いほど発酵して美味しいです。2ちゃんのアンチョビスレなど見ると、半年や一年漬けてる方もたくさんいらっしゃるようですが私は半年程度まで粘ったことがあります。
塩にもオイルにも長期間漬けたアンチョビは風味も良く、包丁で叩かなくてもフライパンの中で溶けます。
様々な作り方
- 「さばいてから塩漬け」法(食べやすい/作りやすい)
- 「まるまんま塩漬け」法(濃厚?)
- 「ワタも一緒に漬ける」法(濃厚)
今回記載するのは、1.の「さばいてから塩漬け」法です。
2.の、「まるまんま塩漬け」は、イワシの身が塩に接する面積が少ないため漬け込み期間が長く必要で、オリーブオイルに移行時に手間もかかり、少し非効率な印象だったので今回は省きます。
3.は、さばいてからワタ(内臓)も一緒に塩漬けする方法らしいですが、やったことはありません。
2.と3.の場合、ワタ(内臓)ごと漬けるため芳醇で濃厚に仕上がるとのことですが、私が2.をやった時は漬け込みが浅かったせいか期待したほどの違いは出せませんでしたので、濃厚さを求める場合はもしかしたら3.の方法が良いのかも知れません。
なお、化学物質等は内臓(および脂肪)に蓄積するそうなので、そういったことやその他不純物が気になる方もに1.がおすすめです。
[ 工程1 ] 塩漬け
●密封容器を消毒しておく
煮沸消毒が確実のようです(詳しくはこちらの「作るたのしみ」さんにありました)。私はこれほどきっちりしてませんが、塩を多めに使うせいか特に今までトラブルはなかったです。それでもやはり、カビて後悔のないように煮沸消毒しておきましょう。
(耐熱性のない容器の場合は安全なアルコール(消毒用エタノール等)で拭いくという手もあるようです。梅干しの容器などは甲類35度の焼酎やホワイトリカーで殺菌するようなのでその手も使えそうです。)
●イワシのアタマをひたすら落とす
包丁でイワシの頭を切り落とします。どうやら同じ動作を繰り返すほうが作業効率が良いので40匹片っ端から頭を切り落とします。後頭部から途中まで包丁を入れて引っ張ると内臓も一緒に付いてくるので一緒に外します。残った内臓は後で処理するのでこの時点では細かいことは気にせずじゃんじゃん頭を落とします。
●腹から手開き
腹に切れ目を入れ、イワシを開いていきます。
●ざっくり背骨と尻尾をはずす
真ん中より頭寄りの部分を持ち上げると、比較的外れやすいです。背骨と一緒に尻尾もはずします。小骨や尻尾の取り残しは次以降で取るので、ここでは細かいことは気にしなくてよいです。
●背ビレ、腹ビレ、小骨、尻尾、内臓の取り残しを取る
骨抜きなどの道具もありますが、やはり手でやったほうがやりやすいです。なるべく身だけにしたいですが、多少残っていても発酵するので神経質にならなくてOKです。基本、叩いたり溶かしたりして食べるものなので、身がちぎれても気にせず作業を進めましょう。
●身がバラけてやりにくい場合
上記までの工程でたぶん4,50分はかかると思います。その作業の間、手の熱がイワシに伝わり、暑い季節は特に身が脆くバラけやすくなってきます。その場合はボールに氷水を張り、そこへイワシを入れて身をしめておくと、次の工程がやりやすいかと思います。
●洗い流しながら最終チェック
流水で一枚一枚身を洗います。この時一緒に身以外のものが残ってないかチェックし、気になる場合は指で優しく撫でながら外していきます。
●水気を拭き取る
トレーにキッチンペーパーを敷きます。その上に、重ならないように身を並べます。その上にまたキッチンペーパーを敷いて同じ作業を繰り返し、ミルクレープのように重ね、最後キッチンペーパーの上から軽く抑えます。
あまり神経質に水分を取り過ぎると塩漬けした際水が上がってこない心配もありますし、多少水分が残っている方が発酵しやすいと思うので、最後塩をしっかりかけておけさえすれば、この程度の水気の取り方で良いと思います。
●容器に漬ける
水気が切れてない場合はキッチンペーパーで拭き取りながら、塩の層、イワシ、塩の層・・・というふうにイワシを漬けていきます。このようにイワシ表面全体を塩に触れさせ、カビ雑菌の繁殖を防ぎます。
最後はフタをするようなつもりで多めに塩を敷き、イワシが露出しないよう気をつけます。あとは容器を密閉して塩漬け作業は完了です。
●水分チェック
1時間もすればイワシから出た水分が上がってくると思うので、イワシ全体が水に浸っているかチェックします。水から出てる部分は水の中へ押し込んでおきます。
●発酵を待つ
直射日光を避けて常温で発酵させます。真夏で暑さが心配な場合や、発酵を遅らせたい場合は冷蔵庫に入れます。
1,2ヶ月後、蓋を開けアンチョビの良いにおいがすればひとまずOKです。オリーブオイル漬けに移行可能ですが、もう数ヶ月、様子を見ながら寝かせてさらに発酵させることもできます。
●その他
ネットなどで見ると、塩の量はさばく前のイワシの重量の15%~30%といろいろあるようです。
- 塩多め → 発酵遅い、カビ生えにくい
- 塩少なめ → 発酵速い、カビの危険アリ?
ではないかと思います。
私は計らずに作ってますが、いつも塩の粒が容器に残るので、かなり多めの塩加減だと思います。
味の好み等も考慮してお好みの塩加減を見つけられると良いと思います。
あと、上から重しを乗せたり、キッチンペーパーを乗せたりという方法もあるようで、よりしっかり漬けたい場合は試してみて良いかもしれません。
[ 工程2 ] オリーブオイル漬け
●密封容器を消毒しておく
塩漬けの時と同様に、別の密閉容器を消毒しておきます。
●塩漬けイワシを洗う
液体は捨てずに塩漬けイワシだけを取り出し、ボールに移しかえ流水で洗います。
●水気を拭き取る
塩漬けの時と同様の手順で水気を拭き取ります。
●容器に漬ける
水気が切れてない場合はキッチンペーパーで拭き取りながら、消毒済みの密閉容器に詰めていき、イワシが空気に触れないよう、オリーブオイルをたっぷり注ぎます。
●寝かす
2週間ほどすると身が柔らかくなってきますが、さらに柔らかく風味豊かにする場合は1ヶ月以上寝かせるのも良いでしょう。オリーブオイル移行後も発酵は進みます。待ちきれない場合はすぐ食べても大丈夫ですが、やはり風味は落ちます。お好みの風味や柔らかさになれば、これでアンチョビは完成です。
●ナンプラーもどきを作る
塩漬けの容器に残った液体は数ヶ月放っておけば発酵し、ナンプラー代わりの調味料として使えます。ただ自分の場合、塩分のパーセンテージが大きいせいかナンプラーほどの風味には至らなかったような・・・。
(ちなみに、溶けきらなかった塩ももったいないので、タイ料理のような魚介の香りと親和性の高い料理に使ったりもしています、使い切れなくてあまったりもしますが。)
●その他
塩水などで塩抜きする方法もあるようです。私はやったことがないので、塩抜きするとどうなるかわからないのですが、塩分等が気になる方は試してみるのも良いかも知れません。(ただ、塩分濃度が下がるので、もしかすると保存性が落ちるかも知れません。)
あと、オイルに漬けていると白い塊ができることがあります。これはコロニーと呼ばれるものらしく、旨味が固まったものとのことで、食べても大丈夫です。白カビは空気に接する部分に発生するので、オイルの中の白い球体であればコロニーと判断して良いと思います。
食べ方
家でよくやるのはキャベツとアンチョビのペペロンチーノです。
フライパン弱火にオリーブオイル+ニンニクみじん切り+包丁で叩いたアンチョビペーストをあたため、、その後キャベツと唐辛子を投入して火を通しお好みで白ワインで香りづけし、茹でパスタやビーフンとあえる、といった感じでです。他にはバーニャカウダー風ドレッシングやピザなどに使っています。