毎日楽園化計画

時々湧き上がる思考の整理

[DIY]DIYにあると地味に便利で効率が上がるちょっとマイナーなツール一覧(随時更新)

DIYの道具。ホームセンターに行くといろいろなものがあります。

ドライバーやドリルなど、メジャーなものは誰でも知ってると思いますが、あーこんな便利な道具あったんだっていうのが結構あります。そういうのって、ネジ買わなきゃと目的があって行ってる本人より、同伴した旦那がふらふら見つけてくれたりします。やっぱり心の余裕って大事ですね。

 

 1.ケガキ・墨付け作業が4倍時短できる『止定規』

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これは便利です。

墨付け(ケガキ)作業って思ったより時間がかかります。
角材の四面全部に線を引こうと思ったら何度も測らなくてはならないし、なるべく直角に線を引きたい、などと思うとけっこう手間と神経を使います。

だけどこれを使うと、一カ所測定して点を打ったら、あとはその点にあわせてこの止定規をあてがうだけで直角に線が引けるし、角材をくるっと回転させるだけで、他の面の同じ位置に線が引けます。そう考えると4倍以上かも。

それと、側面にピタッと密着させるので、上面の端(角)からの距離も測りやすいです(角を面取りしてる角材だと、角がわかりづらかったりするので)。

写真ではわからないけど、45度のケガキも可能です。

私の使ってるのはシンワってメーカーで、コーナンでたしか500円台でしたが、Amazonにも似たようなのがありました。

TRUSCO ポリカ止め定規

TRUSCO ポリカ止め定規

 

 

2.ピーラー感覚で面取りができる『ホビーカンナ』 

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本格的なカンナというと大工さんの花形道具、素人には使えない代物というイメージですが、このホビーカンナはお台所で野菜の皮を剥くがごとく、しゅるしゅる簡単に面取りができます。

大工さんの本格的なカンナは、木材の表面を滑らかにするのが主な目的のようですが、このホビーカンナは私の場合、面取りに使っています。パッケージには平面削りにも使えるとあります。ググると、ギターやバイオリン作りにこれを使ってる方もおられ、なかなか用途は広そうです。

コツは刃を出しすぎないこと。薄く気持ちよく削るには、こんなんで削れるの?ってくらいすこーしだけ刃を出すと上手くいきました。

替え刃式なのでその点でも便利です。これも私はコーナンで買いました。

TAホビーカンナ№01501

TAホビーカンナ№01501

 

 

 

 3.ピッタリ位置を合わせて木ダボの穴あけができる『マーキングポンチ』

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 すみません。これはまだ未使用なのですが、Amazonで見つけて便利そうなので買いました。

 今、『おうち最適化計画』というのをやっているのですが、そこで作るの棚兼机の天板を木ダボで接続するつもりでして、でもなにぶん初めてなもので位置がずれたら上手くはまらないだろうなぁ、ということで思案していたところ、ネットでこれが見つかりました。また使ったら感想を追記しようと思います。

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↑この天板を木ダボで止めたい

 

SK ダボ用マーキングポンチ DP-8

SK ダボ用マーキングポンチ DP-8

 

 

WAKI 木工ダボ 8×30mm 約100個 3852100

WAKI 木工ダボ 8×30mm 約100個 3852100

 

 

 4.好みの深さだけザボれる『ドリルストッパー』

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 すみません。これもまだ未使用です。

以前のL字棚でも座彫りについて書いていて、その時点では普通のドリルでざぼってました。そしてこのように爪楊枝で深さを測ったりしてました。

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 だけどこのドリルストッパーを使うと、好みの深さだけ正確に掘ることができるようです。

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Amazonにもありました。私のは12mm用ですが、これは6mm〜12mmのドリルに使えるらしい・・・。いいなぁ。

リリーフ(RELIFE) ドリルストッパー 6?12mm 29060

リリーフ(RELIFE) ドリルストッパー 6?12mm 29060

 

 

上記のは普通のドリルビットに装着するタイプで、深さも自分の好みにできますが、最初から一定の深さに掘れるものもあります。ダボ錐とかボアビットとかフォスナービットとか座ぐりドリルとか、いろんな名前があるみたいですが、たぶん機能としては同じようなものじゃないかと思います。 

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スターエム ダボ錐 六角軸 8MM

スターエム ダボ錐 六角軸 8MM

 

 

5.コードレスとカプセル式と軽さがらくで毎回推してる『マキタの充電式クリーナー』

最後に、私が毎回推してるマキタのコードレスクリーナーも入れておきます。

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家で作業した後、サッと木くずを処理できるのが本当に素晴らしい。というか、DIYだけじゃなく普段もよく使うのでダイソンの出番が減りました。よっこらしょと出して、コンセントにつないで・・・という作業がないとずいぶんらくです。軽いし。街の施設でも清掃員のみなさんが使ってるのをよく見ます。

 

紙パック式とカプセル式があるようですが、私はカプセル式が手軽そうだったのでそっちにしました。

マキタ 10.8V充電式クリーナー CL100DW

マキタ 10.8V充電式クリーナー CL100DW

 

 

[番外編]便利かどうかわからないけど気になる『木ダボドリル』

 木ダボ穴をどう掘ろうか悩んでいたときに見つけた道具です。これ、穴を空ける道具ではなく、木ダボそのものを作ってしまえる道具らしいです。

SK 木ダボドリル DBD-3S

SK 木ダボドリル DBD-3S

 

いやすごい。木ダボを自分で、しかも同じ素材で作れるなんてなんて素敵なんだ!と思ったのですが、コストや工数を考えると、まあ普通の木ダボでいいかと思い直しました。でもいつかそのへんの細部までこだわりたいようなものが出てきたら買うかもしれません。

 

ということで、また面白い道具見つけたら随時更新しようかなと思います。 

 

 

[DIY]『おうち最適化計画』というものを始めます(見積もり編)

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私は正直片付けベタです。これは私の人生において、克服すべき課題のひとつであります。だからといって家具を作るところからやる必要あるのか?そう自問することもありました。しかしぜんぜん片付かない。その場しのぎの寄せ集めの家具にはもう我慢ならない。このごちゃごちゃした生活導線をどうにかしたい。家具を作って家の中を最適化したい。もう一から全部やり直したい。この衝動を押さえることはできませんでした。

ということで、SketchUpで設計図を作り、概算を出し、旦那に許可を得るところまできました。極端なのは重々承知しているのですが、そういう性格なので止められません。『おうち最適化計画』と名付けて、しばらくやっていこうと思います。まずは製作の基本方針や道具と概算見積もりをまとめます。

 

製作の基本方針

  • ホームセンターのパイン集成材と角材を使う → コスパ、調達しやすさ、加工しやすさのため
  • 塗料は柿渋と蜜蝋ワックス(自作)を使う → ニスやワトコオイルなどに比べるとコスパも作業効率も悪いけど、シンプルさと作る満足感を優先

設計図はたぶんその都度修正が出ると思いますが、のんびり作る作業を楽しみながら、こんな感じでやっていこうと思います。

 

主に使う道具

前回L字棚をやって、やはりのこぎりの作業とヤスリ作業は時間を食うということを痛感しました。ということで、買ってしまいました。 

ブラックアンドデッカー(BLACK+DECKER) 18V マルチツール EVO183

ブラックアンドデッカー(BLACK+DECKER) 18V マルチツール EVO183

 

キッチンラックを作るときに使いましたがやっぱり便利でした。素人には十分です。丸ノコなんて怖くてとてもじゃないけど、手動はしんどい、でもジグソーは直線には不向きだと思って躊躇してました。しかし私が作る寸法の荒いかぐ程度なら十分使えました。

そして今回、このプロジェクトをやるにあたって、これも買い足しました。

ブラックアンドデッカー(BLACK+DECKER) ワークメイト WM225

ブラックアンドデッカー(BLACK+DECKER) ワークメイト WM225

 

 これも少し使ってみましたが、木材を固定できるので、切断や面取り作業のときに便利でした。

そして、これはまだ使ってないけど、こちらのVIC's D.I.Y.さんに習って、ジグソーでまっすぐ切るための治具を作りました。

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たぶんこのVIC's D.I.Y.さんは今後たびたび参考にさせてもらうことになると思います。丸ノコなど、大掛かりな道具を使わない方針とのことで、私のようなDIY初心者には本当に参考になるサイトだと思います。

 

あと、もう一つ買って便利だったのがホビーかんなです。

TAホビーカンナ№01501

TAホビーカンナ№01501

 

 これも少し使ってみましたが、面取りに便利でした。カンナといっても小さくて素人にも使いやすいし、安いし、替え刃式なのも良いです。

 

こんなふうに、作業台で木材を固定し、

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 ホビーかんなでしゅるしゅるして、

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ブラック&デッカーのサンダーヘッドで仕上げる。

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 みたいな感じで、新しい道具、買ってよかったです。

 

その他細かい道具もたくさん使うと思うのですが、とりあえず今思いつくやつからまとめておきます。

  • ジグソー
  • 電動ドリル&ドライバー
  • 電動サンダー
  • ホビーカンナ(面取り用)
  • ジグソー用補助治具
  • 作業台
  • 塗装用道具(刷毛等)

 

 

概算見積もり

ネジや塗料、裏板用のベニヤは正直どれくらいの費用になるかわからないので、とりあえず木材だけの材料費をそれぞれざっくりと出してみました。

キッチンの棚兼机

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  • 左 → 幅910×奥行き400×高さ700 → 4500円くらい
  • 右 → 幅1200×奥行き350×高さ700 → 5500円くらい 

合計10000円くらい

せっかく窓があるので、お茶のんだり、ノートパソコンで作業したりできるような机兼棚にしたいなということで、こういうものを作ります。

 

リビングのテレビまわり

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  • 左キャビネット → 幅318×奥行き368×高さ1196 → 6800円くらい
  • テレビ台  → 幅946×奥行き368×高さ400 →  7400円くらい
  • 右棚 →  幅636×奥行き368×高さ910 → 7080円
  • 上収納 →  幅1582×奥行き400×高さ286 → 7800円くらい

テレビ周り 合計 29000円くらい

 

扉をつけたり板を多く使うとけっこういきます。こんなミリ単位の仕事ができるか不安ですが、VICさんを参考にして作った治具に期待したいと思います。下の扉はたぶん、アクリル板を使ってリモコン操作できるように仕様変更することになると思います。扉つけたり、いろいろこの辺から未知の世界が広がります。

 

旦那の仕事机

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  •  旦那の仕事机 → 幅910×奥行き500?×高さ700 → 6000円くらい?

これはまだ奥行きで悩んでいます。パイン集成材に奥行き500という規格がないので、思い切って600にしようかそれとも450にして下にスライド式のキーボード台などで対応するか・・・。といったところです。でも、今後これで仕事することになるし、奥行き大きいほうが気持ちよく仕事できていいかもなぁ・・・。椅子は作れないので買い替えて、後ろにパーテーションも設置したいところ。

 

洋服収納

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  • 右コート掛け → 幅600×奥行き400×高さ1450 → 4900円くらい
  • 左洋服掛け → 幅1820×奥行き400×高さ1050 → 10800円くらい
  • 左下チェスト → 幅600×奥行き約414?×高さ436 → 9700円くらい

洋服収納 合計 25400円(目隠し用のカーテン込み)

寝室にあんまり高い家具は置きたくないけど、コートは収納したいということで、だいたい肩の高さくらいの高さにしました。ここにもチェストという大難関が。この設計図には描いてませんが、目隠し用のカーテンもつけるつもりです。

 

以上、ここまでの木材費用は、

  • 約70400円

ということになりました。

ここに、裏板用のベニヤやネジ、ボンド、塗料(蜜蝋ワックスと柿渋)などを足すと、たぶん、

  • 約10万円

ということになりました。

 

あと、椅子や姿見も買い替えたいので、そういうのも足すとそこそこいきそうですが、とりあえず、自作する分に関しては予算約10万円ということになりました。

さて、どこまで設計どおりに実現できるか、楽しみです。

『村上さん』の中に見つけた仏教的なものを拾っていく(4/3追記)

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フリーランサーとしての村上さんに何か得るものはないかとの思いで、この『村上さんのところ』を追い続けて早一ヶ月強。

生活習慣や自己管理、組織に属さず働くコツなどを拾って参考にさせてもらうつもりだったのに、気がつけば深みにはまっていました。特に村上さんの基本的な物事の捉え方がとても興味深く、ズルズルとそっちへはまってしまいました。根本的なものほどハマると深みにハマるので、ほどほどにしたいんですが。

自分はというと、昔仏教やインド哲学を勉強していた頃がありました。元々そういった物事の捉え方や法則性などに興味がある人間なので、ついついそういった視点で読んでしまいます。そしてなまじ知識があるために、つい自分の知ってることと照らし合わせたり、共通性を見つけたりしてしまいます。

仏教というとキリスト教などと同じ宗教と捉えられがちなんですが、実は哲学や精神科学的な側面のほうが大きいんじゃないかと個人的には思っています。たしかダライ・ラマもそんなことを言っていました。日本での、宗教としての仏教にはほとんど興味はありませんが、そういったものを除いた本質的な仏教はとてもおもしろいです。

このようなタイトルをつけましたが、村上さんがすなわち仏教的な人ということではありません(私の引用解析する姿勢に関して言えばまさに仏弟子的ですが)。ただ、自分が知ってるA(村上さん)とB(仏教)の共通性を見つけたってだけの話です。なので、A(村上さん)はCとも似てるかもしれないし、Dとも似てるかもしれないし、ABCD全部に共通性があるかも知れない。でも私が知ってるのはAとBの共通性だけだ、ということです。

たとえばここでは、海外の学生に、村上作品が民話(神話)と似ていると指摘されていました。

“Kafka on the Shore” and folk tales - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト

翻訳版の「海辺のカフカ」を研究していたら民話との共通点を見つけてしまったけど、自分は日本語がわからないから、原語ではどうなんだろう?みたいな相談でした。

こんなやりとりもありました。

作品を富士山にたとえれば - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト

村上作品の解説本を読んで、いかに自分が読解できていないかを知ってがっかりした、みたいな相談ですが、それに対して村上さんは、こんな回答をしています。

作品を富士山にたとえれば、一つの角度からそれを捉えた写真のようなものです。そこから全体像は浮かび上がってはきません。

 

私が今からやろうとしていることも、これらのやりとりにあることと同じだと思います。

村上さんの考え方や村上作品に、私は仏教との共通点を見つけるけど、彼女は民話との共通点を見つける。でもそれは部分的な見方にすぎない、ということです。

そして、先の民話との共通点について、村上さんはこう答えています。

When we tell our story we often go down to that reservoir and draw some water from it. Maybe our reservoirs are partially mutual.
This is my theory. What do you think?

私はあんまり英語が得意ではありませんがザックリ意訳すると、人間の心の深いところには、物語の源になるような「貯水槽」があって、それは自分だけじゃなく、他ともつながったり、行き来したりしていると。

この回答だけではわかりづらいけど、他の回答も読んでいるとどうやら個人の精神の奥の奥のほうには、人間全てに共通したり通じたりする何かがある、と考えられているようです。

これに関しては、このやりとりが参考になりそうです。

河合隼雄先生と話して感じたこと - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト

ここでは質問者の方が、村上作品とユングとの共通性を指摘しています。それに対し村上さんは、ユングの著作物は読まないけど共通性は否定しない、といった回答をされています。

私は心理学やユングについてはほとんど知らないけど、ユングが提唱したものの中に「集合的無意識」というものがあることを知りました。

私もよく理解できてませんが、例えば笑顔や怒りなど、民族を問わず共通するものがこの表層の世界にもあるけど、そういった共通基盤が、人間の心の深層にもある、ってことなんじゃないかと思います。

そしてこれに似た概念が仏教にもありました。「阿頼耶識」というやつです。

たぶんまったくイコールではないけど、村上さんの言ってることと、ユングの提唱した概念、仏教の阿頼耶識には共通した部分があると思います。

それぞれ場所も時代も全く違うのに、これら3つには共通した部分がある、このこと自体が、その「底で通じている」ことの証明のように思えます。

ここにもひとつありました。

村上さんは神話を書いているんですか? - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト

(ちなみに、大乗仏教では阿頼耶識(八識)までしか言及せず、私もここまでしか習いませんでしたが、wikiによると密教の世界ではもっといろいろ(九識とか十識とか)あるようです。もしかしたらそちらとも通じてるかなぁとも思うのですが、このへんは素人がこれ以上掘り下げないほうがいい世界のような気がします。)

 

では、前置きが長くなりましたが具体例を部分的に拾っていきます。

 

1.三角測量と縁起観

生きる意味って、必要ですか? - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト

ここに出てくる「三角測量」。最初に読んだときまったくわかりませんでした。というか、まだそんなに深く読もうと思ってなかったので、軽くすかすような回答だと思ってました。三角測量にヤクルトのローテーション、私にわからないことだらけですし。しかし後になって気になって「三角測量」をググってみて気づきました。これは仏教の縁起観と似てると。

上のやりとりだけじゃピンときません。ところがその後、この「三角測量」の例話にあたるのではないかというやりとりが別のところに出てきました。

地球もすきです、自分もすきです - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト

つまり、自分の存在意義だけを凝視してても何もわからない。だけど、そこに自分が大好きなものをひとつ置くことで、それと自分との関係性を見つめることで、自分の存在意義がわかる、というか生まれると。たぶんそういうことなんじゃないかと思います。

ぐぬぬやるな22歳、といったところです。

そしてここにもちゃんと「関係性」が出てきます。

どうしてこのような結論に至ったか? - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト

要するに、意味には実態なんてないんです。そこには関係性みたいなものがあるだけです。その関係性はあくまで相対的なものであって、あなたがちょっと立ち位置を変えるだけで変化するものです。決して絶対的なものではありません。

これまさに仏教の縁起観に通じます、とほぼ断言していいんじゃないかと思います。

「縁起観」でググると、単純に因果論つまり原因と結果の法則のような説明も多いですが、そういう直線的な繋がりだけじゃなく、もっと広がりのある関係性のことじゃないかなと(昔学んだ記憶をたどると)そう思います。原因と結果だと点と点を結ぶ線でしかありませんが、三点あると面になります(あともう一点加えると「体」になりますが)。

そして、そのそれぞれの点は固定されていないので、ここで問われている「意味」もつねに変動しているということです。

「関係性」とか「相対的」などの言葉が出てきますが、これもまさに縁起的というか仏教的な言葉です。

「面」や「体」の広がりに関してはあくまでも私の縁起観への解釈で、村上さんがそう考えていたわけではないと思います。村上さんは単にその「変動」を示すために「三角測量」を引用したのだと思うのですが、3点はその変動を示すのに必要最低限の数です。「それでいきましょう」と言うだけのことはあるなと、今になって理解しました。

 

 2.タマネギとナーガセーナの無我説

若いころは、自分って何?みたいなことを悩むのが好きだったりします。私もそうでした。なのでこの仏教の「無我」という概念にものすごく興味がありました。

『村上さん』にも、個人の実態に関するやりとりがいくつかありました。

本当の俺のこともしらないくせに!? - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト

海外の若者もやはり、同じようなことに興味があるようです。

What am 'I'? - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト

こういった問に対して、村上さんは個人存在をタマネギに喩えたり、機能の集合体だと言ったりして、自分の考えを述べられています。

で、これと同じような譬喩が『ミリンダ王の問い』という仏典にも出てきます。

簡単に意訳すれば以下のような譬喩です。

車というのは、タイヤとかシートとかエンジンとかブレーキとかボディとか、そういった機能が集合して車というひとつの存在を作っている、だけど、それらの部品をバラしたとき、そこに何が残るかというと、何も残らないわけです。バラしたときに、車の核みたいなものがそこに落ちてるかというと、そうではない。何もないと。

この『ミリンダ王の問い』は、仏教の僧侶と、ギリシャの王様の対話なのですが、このように西洋と対比させることで、仏教的あるいは東洋的なものの捉え方が浮かび上がる、とてもおもしろい教典だと思います。といっても、当時のはたちそこそこの自分には読みきれず、理解しきれていない部分が大半で、今もそのままになっていますが、それでもこのギリシャの王様、ミリンダ王と同じような気づきを、今の私たちにも与えてくれるものではないかなと思います。

しかし仏典に限らないと思いますが、昔の哲学や思想などは対話形式で残されているものが多いようです。しかもそれをまとめるのは本人ではなく弟子であったり、解釈するのはさらに後世の弟子であったり・・・。この対話というのは、こういう話題に向いた形式なのかも知れません。

 

3.「ほどほど」と中道

ほかにもいろいろ共通性をあげるときりがありません。たとえばこういった、「ほどほど」な感覚など。

できるだけ肉を食べない食生活 - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト

仏教には「中道」って言葉がありますが、そういったところにも通じるような気がします。ストイックさとほどほどさがうまく共存していると言いましょうか・・・。

 

以上、ここまでは私が昔習った大乗仏教的なところでカバーできるんですが、ところどころ、それではカバーしきれない部分もあります。たとえば・・・、

「異界」へのアクセス - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト

これとこれも?

Sex connects us with our unconsciousness - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト

(作家として、セックスは無意識へのドアだと思っている、というような回答がされています。訳が間違ってたらすみません)

性描写のシーンでつらくなります - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト

原始仏教や大乗仏教など、私が知っている範囲ではこういったことはあえて明確にしないようです。体感でしか知ることのできない世界だから、その部分だけ抽出し言葉で厳密に説明してしまうとかえって誤解をまねくというのもあるでしょうし、誤った使い方をされると危険(オウムのように)という理由もあるんじゃないかなと思います(密教小乗仏教のほうにはあるかも知れませんが)。

しかしこういった類いのこともオカルト的な胡散臭さと感じさせず、なんとなくそんなのもありえるかもと思わせる言葉のバランスは、やっぱりプロだなぁと思います。

 

そういえば、こんな回答もありました。

仏教の「できること」「やるべきこと」 - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト

うちの父親の家系は僧侶だったので、仏教はいつも僕の身の回りにありました。僕はとくに信仰を持ちませんが、そういう空気は今でも僕に自然に染みついてしまっているのかなと感じることはあります。教義とはほとんど関係のないところで。

「教義とはほとんど関係ないところ」がどういう意味かわかりませんが、観念的なものが染みついている、ということもありえるかもしれません。

 

(4/3追記)

これを機に『ミリンダ王の問い』を少し読み返して面白いことを思い出してしまいました。

「2.タマネギとナーガセーナの無我説」のところで、車のパーツをバラしてみたらそこには何も残らないという話を出しましたが、じゃあいったい何かそのパーツを正しく集合させて車という存在を成り立たせているか、という疑問にぶち当たります。

これを『ミリンダ王の問い』では、「形成力」という言葉を用いて説明しています。

ミリンダ王はナーガセーナに対し、「今はまだ存在してないけど、あらたに生起するような<形成力>があるか」というようなことを問うのですが、ナーガセーナは「じゃあ、あなた他が今いるこの家はどうなんだ?存在しなかったのに生まれたのか?」といったことを逆質問し、ミリンダ王にこう言わせます。

『尊者よ、現に存在することなくして生じたものは、この世においてはなに一つとしてありません。現に存在しつつあるもののみが生じたのです。尊者よ、これらの材木は実に林の中にあったのです。この粘土は地中にあったのです。女子と男子とのそれに相応した労働によって、この家がこのように生じたのです』(P147)

それにナーガセーナもこう応えます。

『大王よ、それと同様に、現に存在することなくして<あらたに>生起する形成力なるものはありません。形成力は現に存在しつつ生起するのです』(P147)

ここに出てくる「形成力」って言葉、正直よくわからないです。注釈を見ると、アートマンインド哲学の用語で「自我」のようなもの)を否定するために使われているといったことが書いてあります(仏教の大きなテーマは無我ですから)。漢訳では「諸行」となるらしいです。

この時点では、自我(先のたとえだと車の核にあたるもの)を否定するためにあくまでも方便として「形成力(諸行)」って言葉を使っただけ、みたいなことが注釈に書いてあるんですが、後の一部の学派が、普遍的に実在するものとして解釈しちゃって、大乗仏教でもこのエントリーの冒頭に出た「阿頼耶識(アーラヤ識)」を用いて説明せざるを得なくなっちゃった、みたいに書いてます。仏教などの内的世界では「有」と「無」の概念が掴みづらいのでとてもわかりにくいですね。

例えば去年、STAP細胞の騒動がありました。これをミリンダ王の家の譬喩になぞらえると、STAP細胞の素材(アイデア)はバカンティーさんや小保方さんらの中に有った。マウスなど実際的な素材もあった。だけど、譬喩の中に出てくるように「それに相応した労働」というものが欠けていたのではないかというふうに思えます。iPS細胞の場合は言わずもがな、山中教授ほか過去からのたくさんの科学者の「相応した労働」があったから私たちが生活する表象の世界でも存在せしむることができたということなんだろうと思います。

(考えようによってはSTAP細胞も、こっちの世界に引っ張りだす力(相応した労働)が足りなかっただけで、iPS細胞と同じように「有る(潜在する)」という気がしなくもないですが、ただこちらの世界、特に科学の理論の厳密な世界ではそれは「存在しない」ということになりますよね)

 

だいぶ脱線しましたが、『村上さん』の小説の書き方への回答の中に、この「形成力」を感じることがときどきあります。たとえば、

What happens when you grow up? - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト

What I am doing when I am writing stories and novels is to see the landscape of ANOTHER WORLD and describe it. You may call it IMAGINATION if you want. But I'd rather call it an ACCURATE DESCRIPTION of things, for I am actually seeing it before my eyes, not imagining it.

ちょっと英語に自信ありませんが、どうやら村上さんが物語を書く作業というのは、作ったり生み出すというよりも、目の前にある景色を正確に描写するのに近い、といったことをおっしゃってます。ちょっと無理やりかもしれませんが、ミリンダ王がナーガセーナに言わされた「現に存在しつつあるもののみが生じた」に該当するかも知れません。

これだけだとちょっと根拠に欠けるような気もしますが、ところどころでこういう解釈が可能なようなことを言ってた気がするのですが、また思い出したら追記します。

ということで、形成力。やっぱりよくわからないけど、なんらかの関係性がうまく成り立ったときに、潜在的に存在するものをこっちの世界でも実在させるもの、といった感じでしょうか?漢訳でも「諸行」ですし、この「諸行」の意味をさらに調べると「現象」ということになるようです。

 

ちなみに私は村上さんの長編を数本読んだ程度の読者で(ダンス、羊、カフカ1Q84等)、しかも内容はきれいさっぱり忘れています(ただすごくおもしろかったことだけは覚えています)。なのでここに書いたものは『村上さんのところ』の回答から引っぱってきたものだけを元にしています。作品の中身の分析ではありません。

こういった切りのない話はこれで終わりにして、次こそはフリーランサーやつくる人のための実務的な「村上さん」をまとめたいんですが、この「村上さん」読んでると、河合隼雄さんや、その河合さんが研究していたユングなどにも興味を持ってしまいます。しかもそこでまた仏教との共通性を見つけてしまったりします。やはり内面の世界はどこまでも続いてるようです。

 

香水にもアロマテラピーにも無知な私が精油で柑橘系の香水を作りたいという衝動に抗えずに実行してみたらいろいろわかりました[香りの設計編]

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香りへの関心と「自分好みを極めた香水を作りたい」という欲求が高まり、そして抑えきれず、精油を使って本当に作ってしまった・・・、までは良かったものの、作ってから「あれ?精油ってけっこう人体に作用するものなの?」と気づいて書いたのが前回のエントリーでした。

今回は、作りながら気づいた香りのあれこれを書いていこうと思います。

ちなみにタイトルにも書いてますが、念には念を押しておくと私は香水にもアロマテラピーに対してもほとんど知識ゼロで、ゼロスタートゆえに今回たくさん発見がありました。無知ゆえに新しい発見が楽しい!「お母さん、靴が小さくなるんじゃなくて足が大きくなるんだよ!知ってた?」的な、当たり前の発見というか、以下そんな素朴な報告が続きますが何とぞご容赦ください。

 

[香りの設計1]なぜわかりやすい柑橘の香りの香水が少ないのか

「自分に合う香りを見つけたい!」と思いたち香水探しをしたのがたしか1月半ばでした。具体的には柑橘系の香りを探していました。パシャのグレープフルーツのような香りでもっと持続性があるものはないだろうか。いろいろ試香したけど結局ありませんでした。

どうもそれ相応のクラスの香水は、柑橘系といっても奥深いというか大人っぽく複雑というか、パシャのような柑橘そのまんまみたいな香りはまずないということがわかってきました。実際フレグランス通の方のレビューなどを拝見すると、そういったわかりやすい柑橘系は「子どもっぽい」と評されるようです。

しかし今回自分で香水を作ってみて、なぜそういった柑橘系の香水がないのか、はっきりわかりました。それはどうも香水の「ノート」と関係があるようです。

どの香水もだいたい柑橘系をトップノートに持ってきているなぁと漠然と思ってましたが、実際作りながらだんだんその理由が確信に変わりました。要するに柑橘系のあのさわやかな香りは「長続きしない」香りのようです。それはどの柑橘系の精油も「トップノート」に分類されていることからわかりました(ハーブや樹脂系の精油の中には、ミドルやベースでも柑橘っぽい香りを放ってくれるものもあるようですが)。

それ相応のクラスの香水が複雑なのは高級感を持たせるためもあるだろうけど、香りを長続きさせるために柑橘系以外の香料をブレンドせざるを得ないという、もっと差し迫った理由があるんだろうなと。それゆえ持続性のある高級な香水にはわかりやすい柑橘系の香りがないってことなんだろうなと思います。

 

[香りの設計2]なぜ香水は時間とともに香りが変わるのか

ということで、香水に「ノート」がある理由もわかってきました。わざとトップ、ミドル(ハート)、ベースと分けているわけではなく、立ち上がりの早い柑橘系のような香り(トップ)と、ゆっくり目に立ち上がる香り(ミドル)と、余韻が長く続く香り(ベース)を調合することで香水の持続時間を維持しようという工夫だったと。時間とともに香りに変化があるのは必然だったのですね。

 

[香りの設計3]それぞれのノートの香りの傾向

そんなこんなでいろんな精油を試すうちに、トップ、ミドル、ベース、それぞれのノートの香りの傾向がわかってきました。あくまでも私の印象ではこんな感じです。

  • トップ・・・爽やか、フレッシュ、軽い(香りの分子が小さいゆえ揮発性が高い)
  • ミドル・・・トップとミドルの中間。爽やかさも甘さもあるフローラルとか?
  • ベース・・・甘い、重い、まったり濃厚(香りの分子が大きいゆえ揮発が遅い)

たとえばトップノートなら、
「香り成分の分子が小さい=揮発性が高い=香りの立ち上がりが早く持続性が短い」
ということのようです。

 

[香りの設計4]ノートを超えた精油もあるらしい

トップからミドルとか、ミドルからベースといった分類の精油はよく見るのですが、中にはすべてのノートをカバーする精油もあるようです。たとえばレモングラスはだいたいトップノートと記載されているサイトが多かったけど、ひとつ「トップからベース全て」と書いているところがありました(こちらのgosetsumei.comさん)。

じゃあレモングラス入れたらずーっと最後まで柑橘の香りが続くのかというとそうでもないようです。スキンケア大学さんによると、

鮮烈な立ち上がりの早いレモングラスの香りはトップノートですが、後々にハーブ系のほのかな甘みと温かみある香りの余韻も楽しめるベースノートでもあります。

とのことで、レモングラスの柑橘っぽい香りは最初のほうで、ミドル、ベースと進むにつれて違った香りになっていくとのことです。ということは!ひとつの精油の中にもトップの香り成分、ミドルやベースに該当する香り成分があるってことなんでしょうね。

 

[香りの設計5]天然香料(精油)は香り成分のユニットだったのか

 上記のことからも、精油ひとつの中にさまざまな香りの成分が含まれているということは予想がつきます。精油同士をブレンドする以前に、香り成分が自然の中でブレンドされ、いわばひとつの"ユニット"となっているのが天然香料(精油)なんだなぁと。(こういう「実は入れ子だったの?」みたいな感覚、ウェブでプログラムの中を覗いてみたときにも感じたことあるなぁ・・)

 

[香りの設計6]ちゃんとした香水は輪郭がクッキリしてる気がする

香水を作っているとき、この“ユニット(勝手に私が呼んでるだけです)”ということを痛感させられたことがあります。

 実は一度目の香水は失敗したのですが(自分に吹きかけた瞬間、食道の真ん中に得体の知れない何かを感じるほど妙なにおい)、そのときに一体何がまずかったんだろうと、ちゃんと香水売り場で売られている香水をプシュッとして嗅ぎ比べてみたわけです。

すると、香りの輪郭がクッキリしてるというか、不必要な香りがきれいに削ぎ落とされているというか、本当に鮮明な香りなわけです。

ここからは素人の想像ですが、合成香料なら、天然香料(ここでは精油)のように“ユニット”単位ではなく、成分を一個一個個別にあつかえるんだろうなぁと。つまりこの成分は欲しいけどこの成分はじゃまだと切り捨てられる、だからあんなクリアな香りになるのではないかなぁ・・・、と思ったわけです。

自信がないのでwiki見てみると、

広義の合成香料は、精油などの天然物から単位操作により取り出した単離香料と、化学製品より製造した狭義の合成香料とに分類される

って書いてるのであながち間違ってないと思われます。

余談ですが、シャネルの有名な香水には「アルデヒド」(たぶん合成香料)が入ってるらしいですが、レモングラスなど柑橘系の精油に含まれる「シトロネラール」もアルデヒドの一種なんですね。

そしてふと気づいたのですが、香水で頭痛くなったりするのはこの「クッキリした輪郭」のせいかも知れないなぁと。要するに自然界ではありえない香りの調合が可能で、過剰に香りを際だたせることも可能なわけですから、中にはそれに馴染めない人も出てくるのかもしれません・・・と思ったけど、そういえば自分は天然香料で自作した香水で気分が悪くなったなぁ・・・。

合成香料にせよ精油にせよ、人間が手を加えてるものだし、そういった成分が体内に入ることで体に作用するのは同じなのかもしれません。精油のほうがまだ自然に近い分、苦手な人が少ないってことかな?

 

[香りの設計7]素人が精油で香水を作るにあたっての限界

じゃあ変なにおいの香水が出来上がったのは天然香料だったせい?と自問してみましたがもちろんそんなそんなわけありません。

腕がない、知識がない、経験がない。もしかしたら香料の品質の違いもあるかも知れないけど、本当の原因は自分が素人だからだと思います。

精油をブレンドする前にビーカーに無水エタノールを入れてしまい、無水エタノールのにおいしか判別できない状態でブレンドするようなレベルです。失敗して当然といえば当然です)

そもそもプロの調香師の技術や知識・経験に追いつけるわけありません。いくつもの香りの成分をひときわ美しい香りになるよう、ノートや香りの強さ、持続性も考慮しながら組み合わせるわけですから簡単なわけありません。こっちのエントリーには成分の体への作用について書きましたが、そういった安全性の検証含め研究費もかかることでしょう。香水に限りませんが、どんな人がどんな使い方をして事故が起こるかもわかりませんし、そういったことも想定して作られてるのだろうと思います。香水っていい値段しますが、それも当然だなぁとわかってきました。なめてました。ごめんなさい。

あと、高級な香水は質の良い香料を使っているんだろうとも想像します。

 

[香りの設計8]精油にはブレンドファクターというものがあるらしい  

精油はそれぞれ香りの強さがバラバラのようで、たとえばジャスミン・アブソリュートは一滴で充分香るけど、ベルガモットは香りが弱い、といったことがあるようです。

香りの強さの指標はいろいろあるようですが、「ブレンドファクター」というものも、精油をブレンドする際に参考になるかも知れません。ただこのブレンドファクターは、香りの強さだけでなく、もっと大事な精油の作用や禁忌など、他の要素も考慮して決められているようです。これについてはこちらにも書いてます。 

 

 

[香りの設計9]ミドルやベースでも香ってくれる柑橘っぽい香りもなくはない 

冒頭で、長続きする柑橘系香水がないのは柑橘系のほとんどがトップノートだから、みたいなことを書きましたが、いろいろ見てるとミドルやベースでも柑橘っぽい香りを放つ精油はあるようです。でもだいたいハーブ系や樹脂系で他の香りも含んでるようですが、柑橘好きなのでリストアップしておきます。

  • レモングラス(トップ〜ベース。でも後半はハーブっぽい香りになるらしい)
  • レモンバーム(ミドルノート。別名メリッサ。まだ試してません)
  • カルダモン(トップ〜ミドル。レモンっぽい香りを含んでるらしいけどまだ試してません)
  • フランキンセンス(ベース。レモンっぽさもあると見ましたがよくわかりません。でもいい香り)

ただ、柑橘系の香りにしたいからという理由だけでブレンドして安全性は大丈夫?という疑問はあるので、もしブレンドするなら安全性や禁忌、効能も調べてからやったほうが良さそうです。

 

 

以上、香りの設計にまつわるいろいろでした。

きっとDIYやハンドメイド全般に言えることだと思いますが、欠点が多かろうが「自分にピッタリの」「自分だけの」「自分のアイデアを自分の手でをかたちにする」・・・こういった楽しさには、市販の良い製品を買うのとまた違った愛着やよろこびがあると思います。これをひとことで「自己満足」と呼ぶのかもしれません。「出来の悪い子ほどかわいい」ってことばもあります。

ただ、これも全般的に言えますが「安全性」も考慮してやらなきゃなぁってのもあります。自分に、あるいは自分の環境でこれを作って使って安全なのか。

で、精油にもその安全性について注意する点があるようです。そう気づいたので、先にこっちのエントリーを書きました。

 

次は、基材や実践についてまとめようと思います。

 

香水にもアロマテラピーにも無知な私が精油で柑橘系の香水を作りたいという衝動に抗えずに実行してみたらいろいろわかりました[取り扱い注意編]

精油で香水作ったらすっごいいいにおいのができてとっても楽しいよーワーイ♪ヾ(*´∀`*)ノ

という記事を書くつもりだったんですが、思いのほか難しい、そして精油の作用をなめてはいけないかも・・・と気づいたので、ちょっとめんどくさいことから書くべきかなとこれを書いてます。ほんとは楽しいとこだけ書きたいんですが。

タイトルにも書いてますが、念を押しておくと私は香水にもアロマテラピーに対してもほとんど知識ゼロで香水作りに挑戦しました。なので、ここに書いてることはあくまでも素人の私が感じたことで、間違ってることもあるだろうし、抜けてる知識だらけだと思います。

ということをご了承の上、お読みいただければ幸いです。

 

しかし精油のことは大好きになったので、次からは精油と香りの楽しい部分を書いていこうと思ってます。

 

もくじ

[精油の使い方1]精油の禁忌・効能というものをなめていたかもしれない

[精油の使い方2]香りの追求のみを目的としてブレンドして良かったのだろうか

[精油の使い方3]精油の基本的な使い方と禁忌という安全上の注意事項

[精油の使い方4]香水における精油の濃度は何パーセントまでOKなのか?

[精油の使い方5]メーカーとか品質とかオーガニックとかどこまで気にすべき??

[精油の使い方6]ブレンドファクターは安全性も考慮した指数だった

[精油の使い方7]ブレンドの相性と数

[精油の使い方8]柑橘系ばかり、同じような香りばかりブレンドしても大丈夫か?

[精油の使い方9]精油で香水作るための安全上の結論(あくまでも自分的な)

 

 

精油の使い方1]精油の禁忌・効能というものをなめていたかもしれない

けっこう気に入った香りの香水ができたので、気が向いたらプシュプシュしてたんですが、あるときふと気になることが起こりました。

私は毎朝体温を測っているのですが、香水を作った頃、体温の低い日が3日ほど続いたのです。でも普段からそんなこともあるので大して気にはしてなかったんですが、精油の効能への関心もあって軽い気持ちで精油と体温の関係についてググってみたのでした。

すると、こちらの記事に突き当たりました。

注意して使いましょう、ペパーミント精油|カスミヤニッキ

こちらの記事には、

ペパーミントには…(中略)…皮膚につけるとヒンヤリするのは主成分であるモノテルペンアルコール類のl(エル)-メントールに冷却作用があるからですが、体温が下がりすぎるおそれもあるため広範囲での使用は控えるようにと書かれています。…

と書かれていました。

さらにこんな記事も。(こちらも上記かすみ屋さんのツイッター経由で知りました)

いやーおそろしい。私もハッカ油持ってますが、ひとビンそんなに大きくないので、普段精油に興味ない人だったらこれ1本入れても大丈夫だと思うかもしれません。しかしここまで大変なことになるとは・・・。

で、私はというと、実際香水にペパーミントをブレンドしてたわけです、うーむ・・・。ペパーミント以外にも解熱作用のある精油はたくさんあるようで、そういったものもいくつかブレンドしてました。

しかし結論としては、体温が低かった理由がペパーミント他の精油のせいだったかはわかりません。今回は少し体温の低い日が続くなとは思ったものの、普段から体温が低いことはあるわけですから。

ということで、

「香水と体温の因果関係ははっきりしないけど、精油の効能や禁忌は思いのほか強力だということを知るきっかけになった」

という事件でした。

 

精油の使い方2]香りの追求のみを目的としてブレンドして良かったのだろうか

上のようなことを知ると、香水を作るという、香りの追求のみを目的として精油を使って良かったのだろうか・・・、という疑問が浮かびます。精油のメジャーな使い方というと、マッサージなど、何かしら効能とセットになってるような気もしますし。

今回いろんなメーカーさんや専門家さんの記事を見ましたが、常識的な量での使用なら大丈夫という感じで書かれていることが多かったように思います。で、自分も気軽に精油で香水作りを楽しみたいのでそうであって欲しいのですが、その「常識的な量」というのは、香水作りにおいてどの程度なのか、個々の精油でも違うだろうし、どの程度の濃度ならOKかしら?ということはまだよくわかりません。もう少し考えてみようかなと思います。この項に関してはまだ結論出せず。

 

精油の使い方3]精油の基本的な使い方と禁忌という安全上の注意事項

こんなにディープに精油に接するのは初めてですが、以前からお風呂に数滴たらしたり、アロマポットでたいたり、無水エタノールや精製水と混ぜて除菌スプレーを作る程度のことはしてました。なのでぼんやり禁忌や使い方の注意事項は知ってましたが、あらためてザックリまとめてみると・・・、

  • かならず適切な濃度に希釈して使う(一部ティートリーなどはOKとされてるらしい、肌が丈夫なら、体質に合うなら)
  • 薄めても飲んじゃダメ(少なくとも精油の知識のない人は)
  • 目に入らないようにする(顔に使うときは注意)
  • 精油ごとに禁忌および作用があるのでいちいち注意(めんどくさいけど)
  • パッチテストしたほうがいいかも(そんなことせずに気楽に使いたいけど)
  • 安全や品質の差があるらしい(肌につけるなら信頼できるメーカーのを使ったほうがいいかも)
  • 子供さんには使わない方がいい(ものによってはOKのもあるようですが)

素人なので詳しく書けないけど、こんなところでしょうか。

3番目の「禁忌」については、個別の精油ごとにいろいろあるようです。

私が見たことあるのは、

  • 光毒性・・・肌に塗布後、12時間は陽にあたってはいけない(柑橘系の精油に多い)
  • 皮膚刺激・・・低濃度なら使ってOKなものから、肌につけるのは避けたほうがいいものまで程度はいろいろあった気がする
  • 妊娠中NG・・・けっこう多い。妊娠中に使うなら専門家の指示をあおいだほうが良さそう
  • 妊娠初期NG・・・妊娠中との違いはわからないけどこれも多い
  • 授乳中NG・・・あかちゃんへ影響?
  • 車の運転前NG・・・集中力をそぐ精油もあるようです。リラックス効果とうらはら?
  • 飲酒NG
  • てんかんの方NG
  • 緑内障の方NG
  • 喘息の方NG
  • 子供さんNG
  • 長期間使うのNG
  • 連続して使うのNG

他にもいろいろあると思いますが、私が知ってるのはこのあたりです。

妊娠中、授乳中、妊娠初期はNGな精油はよく見ます。神経毒のあるものや女性ホルモン様作用のあるもの、通経作用や子宮収縮作用があるもの等々、お母さん自身やあかちゃん、あるいは両方に影響あるってことだと思います。

他にも、クローブバッドのような肌への使用不向きな精油や、危険なので日本では流通していない精油など、いろんな危険(安全)レベルの精油があるようです。

ところでさっきのペパーミントですが、あのような危険があることをそのときまで知りませんでした。たぶんペパーミントが体を冷やすのは「禁忌」ではなく「作用」として扱われているからではないかと思います。たとえば塩でも、一度に大量に摂取したら死んでしまうけど、熱中症予防には効果的だったりします。要するに、きっと適正量と使い方の問題なんだろうなと思います。

ディフューザーで芳香浴など、直接肌につけない場合はそんなに神経質にならなくてもいい項目もあるようです。神経質すぎると楽しめないし、気にしなさすぎだと危険だし、なかなか判断が難しいです。

 

精油の使い方4]香水における精油の濃度は何パーセントまでOKなのか?

グーグルなどで香水の作り方を調べると、一番強く香るパヒュームを作るには、ベースの無水エタノールに対して精油は15〜30%入れると書いてる記事がたくさん出てきます。それを見た私は、天然香料のみでは香りを持続させづらいとも聞くし、ここはマックスの30%で作ってみようと思い、実際作って気に入った香りのものもできました。

しかし後で記事をよく読んでみると、だいたいどの記事もパヒュームの作り方例として精油濃度15%で作ったものをあげています。そして2ちゃんねるの香水自作スレッド経由でたどり着いたこちら、日本アロマ環境協会の『イメージフレグランスコンテスト』では、基材の無水エタノールに対して精油5〜10%で作りなさいとなっています(ページ内の『コンテスト告知チラシPDF』に書いてます)。

こういったことを考えると、やっぱり知識のない自分などはもっと薄い濃度で作るのが無難なのかなぁという気がしてきます。もっと薄くても相性によってはトラブルおこるだろうし、大手メーカーの美容液でさえ訴訟沙汰の肌トラブルを引き起こしたりするくらいですから100%の安全はないにせよ、まあ無難な値というのが10〜15%くらいなのかしら?

どんな体質の人がどんな効能・禁忌のある精油を使って作るかわからないし、実際自分も、ペパーミントで体温下がったかも??って体験したので(それが原因と断定はできませんが)、ちょっとこういったところも気にするようになりました。

 

精油の使い方5]メーカーとか品質とかオーガニックとかどこまで気にすべき??

これも作ってから気になりだしたことですが、やはりマッサージや化粧品の香りづけなど、肌につける使い方をするなら、安心できるメーカーを選んだほうが良いようですね。ということは香水作りもそうだと思います。

しかしいい香りさえできればそれでいいと思っていた私は、「生活の木」のように指定農場やロットナンバーなどでしっかり製品管理されているものではなく、安価で手軽に購入できるショップでほとんどの精油を買って作りました。しかし今のところとくに肌トラブルなどはなく使っています。

残留農薬や薬品の体内への蓄積などが気になる方は、やっぱりオーガニックのものや製品管理を徹底されてるメーカーさんのものを使われたほうが良いのだろうと思います。

しかし食べ物でも、添加物や農薬を気にされるオーガニック志向の方から「安全基準満たしてるんだから大丈夫だよ」という方までいろんな考え方の人がいるので、精油の選び方に関してもその人の普段の考え方が影響しそうで、一概にこうとは言えない世界かなーという気はしています。

 

精油の使い方6]ブレンドファクターは安全性も考慮した指数だった

自作香水についてググっているうちに、精油の世界には「ブレンドファクター」というものがあるとうことを知りました。

たとえば香りの強いジャスミンはブレンドファクター1、香りの弱いベルガモットは12など、少ない分量で配合するべきものほど数字が小さくなっています。(しかしベルガモットのブレンドファクターは4としているところもあり、統一された値ではないようです)

今までこのブレンドファクターというのは香りの強さを基準として決められていると思ってました。しかしこの記事を書きながら「もしかして」と思いググってみると、やっぱり安全性も考慮した値だったようです。

こちらのアロマキュア学院さんのサイトには、ペパーミント、ユーカリレモングラス、メリッサ、ブラックペッパーなど、刺激が強いゆえにブレンドファクター1とされている精油もあれば、ローズやネロリ、ジャスミンなど香りが濃厚で作用が強いゆえにブレンドファクター1の精油もある、と書かれています。

安全性と香りの強さ以外にも、いろんな経験則からブレンドファクターは決められているようですが、ともかく香りの強さでしかブレンドファクターを見ていなかった私としては発見でありました。

 

精油の使い方7]ブレンドの相性と数

そんな感じでこの記事を書きながググってたら、さらに「精油には相性がある。正反対の作用の精油はブレンドしてはいけない」という記事を見つけてしまいました(具体的な理由は書いてませんでした)。

そして「素人の方は精油をブレンドするのは4つまでが良い」という記事もちらほら。理由は、香りも効能もあいまいになってしまうから、ということのようです(E-ConceptionさんのQ&A、Q13参照)。

これを読んでちょっとあせりました。なぜなら自分は香水を作る際、17種類もブレンドしてたもんですから(最初は8種類くらいのつもりが、あれこれやってたら増えてしったんです・・・)

しかしいろんなブレンドレシピ見ると4種類以上のものも多いし、種類が多いほど方向性が曖昧になる(精油の良さが死んでしまう?)という理由のようで、安全性については特に見当たりませんでした。なので厳密に守らなきゃいけないってわけでもなさそうですが、たしかに精油の種類が少ないほど、妙な組み合わせになってトラブルになる確率も減るし、それぞれの精油のいいところが活きてくるってことかと思います。なので今後はなるべく種類をしぼってブレンドしようと思いました。

 

精油の使い方8]柑橘系ばかり、同じような香りばかりブレンドしても大丈夫か?

前項では、「正反対の作用の精油はブレンドしないほうがいい」って話があったと書きましたが、逆に同じような香り、同じような作用、同じ系統、たとえば柑橘系ばかりとか、そういう精油同士のブレンドはOKなのか?という疑問も浮かぶのですが、これについてはよくわかりませんでした。

だけどこういった記事を見つけました。これもE-ConceptionさんのQ&Aから(Q21)

つまり、同じような成分の精油ばかり使っていると、その成分ばかり体内に蓄積されて思わぬトラブルが起きかねないってことなのではないかと思います。

なので、似たような成分の精油ばかり集めて濃い濃度で香水作るのはちょっと気をつけたほうがいいのかなぁって気もします。たとえば柑橘系なら光毒性が強くなるだろうし・・・。

はっきりした結論は出せないけど、ブレンドファクターを参照したり、いろんなレシピを見比べて「常識的」の範囲を自分なりに検証したり、もっとシンプルに自分のバランス感覚や感性をフル稼働させることでトラブルを減らすことができるんじゃないかなぁって気がします。

 

精油の使い方9]精油で香水作るための安全上の結論(あくまでも自分的な)

そういったことで、素人の私が素人なりに精油を楽しむにはこのへんが妥当かなぁという基準を考えてみました。これはあくまでも私の場合で、他の方のケースには全く責任持てませんがざっくりこんな感じです。

  • 基本的な精油の取り扱い方を抑えておく
  • メジャーな精油を中心に選ぶ
  • 禁忌と効能をチェックする
  • ブレンドファクターをある程度参考にする
  • なるべく混ぜる精油の数をしぼる
  • 無水エタノールで香水を作る場合は精油15%以内の濃度で作る
  • 長期間連続して同じ精油を使わない
  • いろんなレシピを見比べて、「常識的」な使い方を推定する
  • 肌につける場合は精油のメーカーや品質も気にする
  • 柑橘系の精油を使った場合は、直接日に当たらない部分に使うか夜に使う(光毒性による肌トラブルを避けるため)
  • 今の自分の体の状態と相談する
  • 自分のバランス感覚や嗅覚を大事にする

だいたいこんなところでしょうか。

 

(追記)

精油に含まれる成分というのは、鼻から脳へ直接届いたり、皮膚に浸透して血液にのって体中をめぐったりするらしいです。それを読んで、そりゃあ体に作用するわけだなと納得しました。それまではたかだか香りだと思ってる部分が少なからずありました。

 

以上です。

次からは楽しいところを書いていこうと思います。